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図書館で借りてた「故郷から10000光年」(ジェイムズ・ティプトリー・Jr)を読みました。正確にはそこに収録されてた短編読んだ。「ビームしておくれ、ふるさとへ」を目当てに読んだ。
…あなたは宮沢賢治じゃないですか! こんなところで何やってんの賢治!(笑
「ビームしておくれ」がなんかすごく「よだかの星」に似ててびっくりです。まあ、お題の料理方法はぜんぜん違うのだけれども。「ビームしておくれ」はスタートレックに絡めて異郷への追放者気分に悩まされる青年の孤独を描いていて、「よだか」は自らの罪深さと醜さに耐えかねて星の世界への追放を願うよだかの話だけれども。
「ビームしておくれ」のラスト、主人公が本来のふるさとであるスタトレの世界を思って戦闘機でどんどん上昇していくところがすごく「よだか」っぽかった。鼓膜が破れて上下の感覚もなくなって、それでも星の世界を目指して上昇して行くところ、そんで落ちが、すごく似てた。
ティプトリーはCIAの職員をやったり世界中を旅したりした末最愛の夫を銃殺して己も亡くなったアメリカのSF作家で、賢治は東北の素封家に生まれて農業革命とかを夢見て失敗しておとぎ話書いて夭折した日本の作家だってところがぜんぜん違うけれども。なんで似てるんだろうこの二人。別に「接続された女」(傑作)、「愛はさだめ、さだめは死」(ごめんよくわかんなかったorz)とかは似てないけれども。
ありえない可能性ですけれども、ティプトリーに賢治を読ませたらどう思ったのでしょうか。逆は年代的に無理だしテクノロジー的に賢治にティプトリーが分かるのかっつう謎があるためアレですが。

SFはジャンルとして古いせいか、古典名作が多くて読みがいがあるなあ。今はジーン・ウルフの「ケルベロス第五の首」を読んでます。
まだ一章しか読んでないんだけど、なんかラテンアメリカの純文学小説でも読んでるみたいなんだぜ。いわゆるマジック・リアリズムとかいう。ジーン・ウルフは文章が美味いな~。誤変換じゃないです。舌に味わいを感じるような美味しい文章をよく書きます。しょっぱくて寒々しい北アメリカの島の浜辺の匂いの次には、どことなくエキゾチックな香りただよう夏の暑い異星の(でもどことなくカリブ風の)物語を書く。やっぱり味と匂いのある文章は良い。

あんましサイエンス分からないソフトSF愛好者なので、ハードSFは敬遠してますが(あとスペオペ…)、文学的な香りのするSF作品、特に短編は肌に合うことがあって嬉しいです。
個人的に私がSFに目覚めたのが、SFマガジンの100号記念(だっけ?)の海外SF編だったってのがよかったのだと思います。「不思議のひとふれ」とか、ドリフト・グラスについて書いたのとか、「過ぎにし日々の光」とか、すんごい名作ぞろいだもんなー。叙情SFとでも言うべきか、テクノロジーっていう粉をまぶして、なつかしさと哀切さと諧謔を含んだお話を書いた短編ばっかし。
最近だと20世紀SF傑作選の収録作品とか、あと、そっから派生した古いSF短編ばっかりつまみ食いしてます。やぱり贅沢はたのしい。美味しいものばっかり付いてると身体にも心にも贅肉が付くかもしれないけれども、ハートが霜降りになっても偏食はやめられないのだ(笑
20世紀SF傑作選だと、「情けを分かつものたちの館」(70年代編?)と、「姉妹たち」(80年代編)がマイ・ベスト。ジーン・ウルフとの出会いになった「デス博士の島、その他の物語」(70年代編)も忘れがたい。なんとなく古典的なテーマをあつかった作品ばっかりですよな。SFに新しさは求めてないのだ。「系統発生」(80年代編)も奇想って意味だとものすごく面白かったです。

そういや、山本弘が文庫収録されましたね~。
…昔は好きだったけど、今読むとあまり面白くない山本弘。やっぱり山本弘の子どもじみた正義感が駄目なのかもしれない。いいものはいい、悪いものは悪い、そこをきっぱり分けてしまう作品の調子がやっぱしどことなく子どもじみて感じられるのかも。
私は昔、自分は正義の味方の側にいて、最後はやっぱり助けられるんだと思っていた。でも今は自分は悪者のほうにいて、最後はやっつけられて私のひき肉になった死体の上にハッピーエンドのロゴが降りてくるんだという気がしている。そう思うと硝煙と爆発に拍手喝さいする無邪気で無神経な『大きいお友達』はやっぱり好きになれません。

気づくと二次創作サイトのSSが、ティプトリーか、さもなきゃル・グゥインって感じのやたら古臭いSF調になってるんだぜ…
もともと風刺にもイデオロギーにも味付け以上のもんは求めちゃいない立場ですが、ここまでストレート直球ど真ん中に70年代SF調になってるとかなり苦笑もんです。好きなもんは絶対に文章ににじみ出るのね。オリジナリティの無さは自覚済みですがこれはさすがにかなりアレです。
思い切ってどっかに《パロディです》ってばっちり書いちゃおうかなー。表サイトの「スノウ・ドーム」は飛浩隆氏のパロディですが、裏の二次はどっかの、えーっとどれとも特定できないけど70年代SFのパロディです。今時あんなん書いたって冗談にしかならないじゃんかよ。でも、二重の意味で二次創作というのも案外複雑です。
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