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ダイアン・アーバスの写真集を借りてきましたよ!
フリークスの写真で有名なダイアン・アーバスですけれども、そんなにそういう内容は多く無かったです。というよりもむしろ、60~70年代のアメリカン・カルチャーの普段眼にしないような部分が見えて面白かったです。ヒッピーのアメリカ、ベトナム戦争の悪夢をひきずってたアメリカ、ヌーディストのアメリカ……
そして、冒頭のアーバスのインタビューには、けっこう有名な言葉がいっぱい見つかって面白かったのですが、個人的にむちゃくちゃぐっときた部分があったのでメモ。書かないと忘れるもの。(笑
《ダイアン・アーバス作品集 冒頭インタビューより》
"そして私をこのパーティに連れてきてくれた女性が一人の男の人を指してこう言いました。「あの男を見て。彼は踊りたくて踊りたくてどうしようもないのに、怖くてたまらないのよ」"
"彼は見かけはただのあたりまえの60歳の老人だったのです。私たちは踊り始めました。彼はとても恥かしがりやで、まるで11歳で成長が止まってしまったかのようでした。どこに住んでいるのかと尋ねると、彼は80歳になる父親とコニーアイランドに住んでいると言いました。働いているのかときくと、夏の間だけビーチでアイスキャンディーを売っていると答えました。"
"「ぼくはずうっと心配しつづけて」 とてもゆっくりとした話しぶりでした。「ぼくはこんなままでいいんだろうかと心配しつづけて。何にも知らないし。でも、もう―――」 そして彼の瞳がキラリと光りました。"
"「もう絶対に心配なんてしないや」"
……なんていうか、これを書く写真家がいるってことも、これが評価されてたってことも、すごいですね。
フリークスっていうんだったら、ジョエル・ピーター・ウィトキンとかのほうがいいんじゃないかしらとちょっと推測。ウィトキンはあんまりしっかりした写真集をみたことがないですけれども、数少ないスナップだけでも、なんていうか、すごく作為的な、美しい写真を取りますから。アーバスはなんていうかすごく無造作です。無造作すぎるって言うか。
でも、このざらざらした感じ、いいなぁ。特にアーバスの撮る性転換者・女装者の写真がものすごくいいです。そりのこした眉や、たるんだ肌、肉の上に浮き出る骨の形、さらには精気の無い表情の生々しさがすごい。あとは老人を撮るときの、この、なんの情け容赦もない、身も蓋も無い視点がすてき。
押さえておくべき作品だったなあと思って幸せです。