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近所のツタヤが千円で四本レンタルをやってたので、四本借りて一日で見ました(うぉーい…)
さすがに途中で集中力が切れたけれども、どれもなかなか面白かったです。
ただぶっちぎりで頭一個抜けて面白かったのが「サンセット大通り」な!
古典名作としてあちこちで名前を見まくるはずです。

一瞬も目を離せないストーリー展開、それでいて気品あふれる抑制された物語、
今の時代じゃ決して見られない職人芸の舞台セット、
そしてグロリア・スワンソンの怪演……
白黒映画の画面って、どうしてこうも美しいのでしょうか。最も、美しくない駄作は時に埋もれて消え去ってしまい、今は本物の傑作しか残ってないからかもしれない。
今回、どこかの映画レビューで「サンセット大通り」のことを「館モノ怪奇映画としても傑作」というレビューを見たのが、ようやく借りてくる決心を付けたきっかけになってます。
その評価に間違いはナシ。ハリウッドにあるサンセット大通り、かつての無声映画時代の大スターが作ったかつての豪邸が今は荒れ果て、老女優とその執事だけが暮らしている、というシチュエーションはほとんどゴシック映画。ていうか、吸血鬼映画。精神的な意味で「吸血鬼」を捉えるなら、老残の大女優ノーマ・デズモンドはエリザベート・バートリを髣髴とさせる女吸血鬼にも見えます。
借金を抱えて逼塞しているB級脚本家ジョー。彼は借金取りに車を取られそうになり、ひょんなことから荒れ果てたとある大邸宅に迷い込みます。無人とばかり思っていたその邸宅には、かつての大女優ノーマ・デズモンドが暮らしていました。
無声映画時代に一世を風靡したものの、もう20年近くもヒットが無く、世間からは忘れ去られているノーマ… 半ば狂気に陥り、誇大妄想から書き出した長大な脚本の物している彼女に声をかけられたジョーは、ノーマを騙して一時その邸宅に隠れ住もうと目論見ます。
ですが、はじめはノーマを利用しようと思っていたはずのジョーが、やがてはノーマの狂気にからめとられるようにして、彼女の屋敷にとらわれていき…
キャラクター配置としては、ノーマがドラキュラ伯爵だったら執事のマックスがレンフィールド、ジョーの立場はミナ・ハーカー。この話で唯一、健全で清廉なベティがジョナサン・ハーカーにあたる。
ただし、この物語にはヴァン・ヘルシングは登場しません。だって舞台は『彼らの王国』ですものね。誰もがヴァンパイアになることを望み、ヴァンパイア同士がお互いに肉食獣の争いを繰り広げ、敗北したものは死するのみ。そんな世界で誰が吸血鬼退治なんてするものかい。

最初は野心の匂いがする、ゆえに野暮ったいアメリカ青年だったジョーが、ノーマのモノになるにつれて洗練されて退廃的な美青年になっていく過程は… なんつうか… 素晴らしいですがおぞましいですね。
ジョーはノーマのことをかけらも愛してはいないのですが、とらわれてはいるし、魅入られても居る。そうやって堕落していく自分を知っていても、ノーマの狂気に負けて逃げることができない。
高価な煙草と金の煙草入れ、貴金属の似合う衣類やシャンパンやワインの知識。何もかもを手に入れても自堕落で自暴自棄になる。そりゃそうだ。いうなればその過程は、ノーマの「老い」の匂いが全身に染み付いていく過程なわけですから。
老女優ノーマは、カムバックを望んで「サロメ」の脚本を書いています。ところがサロメといえば処女にして少女、それゆえに周りの人間を破滅させるロリータ型のキャラクターで、そのあたりからすでにノーマがかなり可笑しい。
実際、作中だとノーマは、常に自分が22歳の瑞々しいスターだと扱ってもらいたがる。ところが、どうしようもなく老残の身を晒しているのが現実のノーマであり、そこの二つを同時に演じきるグロリア・スワンソンがまた凄いのですよ。
ネタはあえて伏せるが(みんな知ってる気もするけど…)執事のマックスのノーマに対する献身がまた、このグロテスクさを加速させる。ノーマは無謀で無知で愚かなんだけど、その滑稽さを見ていると、救いようが無い恐ろしさが向こう側に透けて見えてくる。
アレっすかね「サンセット大通り」の滑稽さは、髑髏の上に笑顔の化粧をぬったくってるような不気味さがある。そういうブラックユーモアは、今の映画からは絶えてなくなったもののような気がします。

あと、忘れちゃいけないのが、『サンセット大通り』はまだアメリカの黄金時代の香りが残る時期、1950年に公開された映画だってことです。
ノーマの屋敷全体に満ち満ちたごてごてした悪趣味も、彼女の着ているどこかエルテ風のドレスも、すべてがもう、「黄金時代のアメリカ」が持っていた優雅さに満ちている。優雅だからこそ、悪趣味になれるっていう… 
最初からどう頑張っても悪趣味なものが上品ぶるんじゃない、真の意味で貴族的なものが堕落したときのエロティックさ。
一回しかまだ見て無いのだけれど、ノーマが使ってる船型のベット(ボートをかたどった形をしていて、天使やアラベスク模様とかがびっしりと彫りこまれてる)や、特注の車(シートはすべて豹の革張り!)、何もかもが金銭を一切惜しまないで作られてる。で、どれも埃にまみれて薄汚れていて、時代遅れである。
なんかねえ、もう…… わたしはあの家に住みたい。メイドになりたい。たぶん無理だけど。

オチはすでに知っていたのに、ラストシーンだと背筋がゾオォっとなりました。
怖いよグロリア・スワンソン。素晴らしいよグロリア・スワンソン。
金があるのに不幸な人間の惨めさ。『地獄に堕ちた勇者ども』に並ぶすばらしい退廃っぷりでした。
ていうか、堕落するのにも才能が必要なのだなーと思いました。そもそも、「落ちる」ためには高いところにいかないといけないわけで、そこからえいやっと飛び降りるんじゃなく、気付いたら自堕落にずるずるすべりおちてる、となるには、最初から成り上がるための努力なんてしちゃいけないっていう。
昔は「貴族」っていう人種が本当にいたんだなーっていう、そういう映画でした。
(もっとも『サイレント女優』が貴族かどうかは若干不明ですが)

ちなみにあと三本は以下の通り。
「永遠の子どもたち」:イタリアの子どもモノホラー。切なくも美しい話で佳作。トマスの仮面のデザインが素晴らしいです。あとは血の繋がらないシモンに対する献身的な愛情がね、なんなんだろうと… 中盤の冷媒云々が若干蛇足っぽかったのが残念。あとちょっとだけショックシーンあります。
「未来を写した子どもたち」:インドのドキュメント。…「ちょっとだけ集中できなかった時間も」にモロあたっててあまり憶えて無いよ!orz 売春街のおばちゃんたちの喧嘩が、どこの国も喧嘩は同じなのだなあという感じで妙に印象に残ってます。
「ティンカーベル」:ディズニー映画 見たよ!CGだって気付かなかった! 妖精の飛行モーションに「ファンタジア」の「こんぺいとうの踊り」を引用した由緒正しいディズニー系ファンタジー。あまりにもきれいでおとぎ話で可憐で、これが妖精の話じゃなかったらイラッと来てたかも。何故かラストの春の訪れのシーンで泣けました。ヴィヴィアはお疲れ様でした… しかし「高速飛行の妖精」って語呂が悪い。「風の妖精」じゃないのかしら。

「ザ・セル」と「サイレントヒル」は既に見ていましたが、「リサイクル・死国」というタイトルは初聞きです!
サイレントヒルのラストの、鉄条網が延びてゆくシーンは最高だったと思います~
今後も映画トークはちょこちょこでると思いますので、よかったらまた見てくださいねv>ミチヅキさま
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