オリジナルサイト日記
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最近、というか、ここらへんずっとの悩み。
「自分にとってぜひ書きたいキャラクター」と、「魅力的なキャラクター」の乖離…
以前、友人から、「由仁子さんの書く小説は、キャラクターに魅力が無い」といわれて以来、どうにも気になって仕方がありません。
やっぱり、書くからには、読んでいて面白い小説が書きたい。基本的に体質がエンターテイメントなので、どんな小説を書いていても、気になるのは「それが面白いかどうか」です。
でも、ひとつ根本的なところで、そんな目的と食い違うことがある。
私が本当に書きたいキャラクターってのは、ぜんぜん、一般的でも、魅力的でもないってことです。
私が本当に書きたいのは、たぶん、「背中にチャックが付いた子ども」なんだと思います。
見た目は子ども… どんなにいっても、せいぜいが中学生くらいの子ども。
でも、中身は違う。
自分でも触れない、開けられない背中のところにチャックが付いていて、その中には何か、人間とは違うものが入っている。
あくまで「背中にチャック」ってのはたとえ話なので、実際についているってわけじゃないです。
でも、人間に見えるけれども、本当は違う、っていう孤独感と、背中のチャックが開いてしまったら誰からも石を投げられ追放される、という絶望的な恐怖感ってものを抱いた、ちいさな子ども、ってのがすごく自分の中にテーマとして、あります。
彼らは、言うまでもなく、アウトサイダーであり、そして、《化け物》です。
古い言葉でいうと《遊星からの物体X》であり、《光る眼》であり、《ボディ・スナッチャー》です。パラノイアめいた妄想が思い浮かべる化け物を、その、化け物の側から逆に描写した姿に過ぎない。
どんなに可憐でいたいけに見えても、それが本質になったらいけない… チャックの中身が、本当におそろしい化け物でないと、私のツボにははまらない。
鏡をみて絶望をしても、人間をとりつくろうために必死で努力をしていても、本質は化け物であり、おそろしい害悪であり、誰にとっても恐怖の象徴となりうるようなものじゃないといけない。
でも… ねえ、それって、敵キャラの属性です。(苦笑)
《化け物》ってのは、なかなか主人公にするのがむつかしい。無論、それを見事にやってのけている作品もあります。ラヴクラフトの諸作品とか、あるいは、漫画だけど『ヘルタースケルター』とか、『蔵六の奇病』とか。
でも、もっと言うと、私が書きたいのは『フランケンシュタイン』であり、『のろいの館』『あかんぼう少女』のタマミなのです。
醜く、愛されず、誰からも孤立した存在が、たったひとりぽっちで、勝利の存在しないサバイバルを、死に物狂いで生き延びる…
逆ゾンビですね。ゾンビだらけになった世界で人間がサバイバルするのは普通のホラーですが、人間しかいない世界で、一匹だけのゾンビが逃げ惑うんだったら、それはゾンビの側から見たら、立派なホラーになるんじゃないかしら? もっというと、ホラー以外の何かだとして、どんなものになるのか?
『暗黒童話』は、かなり明確に、「背中にチャックの付いた子ども」がテーマの作品です。
『赤ずきん』の赤ずきんもそうだし、まだ登場していないあのシリーズの真の主役も、背中にチャックがくっついた、ひとりぼっちの子どもです。
でも、あいつらは化け物です。赤ずきんはまだチャックが自分についてるってことに気づいてなかった間のお話だった。でも、主役の子はどうなるんだろう? きっと魅力的じゃないと思います。
っていうか、彼が、誰からも同情される可哀想な醜いアヒルの子になってしまったら、私の目的は、達成されなかったってことになってしまうわけです。
このへん、ダブルスタンダードっていうか、ジレンマだなあ~。
解決できない問題です。かなり、悩ましいです。
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