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ユーリウス(以下ユ)「と、言うわけで、今回は君の持っている銀剣についての解説だそうだよ、カスパール」
カスパール(以下カ)「あの、いきなり言われても意味が分からないんですが、ユーリウス様……」
ユ「いや、こちらとしても事情があるんだよ。僕たちの出演している『暗黒童話』シリーズなんだけれども、もう何ヶ月も更新がストップしているだろう?」
カ「たしかにそうですが……」
ユ「看板連載として、あるまじき事態だとは思わないかい」
カ「看板連載だったんですか!?」
ユ「だって、ほかに連載が無いだろう、このサイト」
カ「青いネコ型ロボットが活躍する話とか…… は? 割と頻繁に更新しているようですが」
ユ「『アレ』が看板連載のサイトが、オリジナル小説サイトっていえると思うの」
カ「……」
ユ「だから、てこ入れのために少し話をしようということだよ。で、そのために一番都合がいい話題が君の持っているその『銀剣』についての話題だというわけ。と、言うことで、Q&A方式で分かりやすく解説をしてみようじゃないか」
カ「……まあ、ご命令ならば。俺に分かる程度のことだったら、できるかぎり分かりやすく説明いたします」
ユ「うん、偉い偉い。じゃあ、さっそく行ってみようか」
Q:『銀剣』って何?
カ「……これは質問ですらないのでは? 『銀剣』というのは、文字通り銀で作られた剣のことです。特に刀身が、純度の高い銀で作られたものの事を言います」
ユ「うーん、それは『銀剣使い』ならではの説明の仕方だね。普通の人にはそれではわかりにくいよ」
カ「? 何故ですか?」
ユ「たとえば僕には、君の持ってる『銀剣』は、絶対に使えない。何故だと思う?」
カ「え…… っと、重いから、ですよね。『銀』は『鋼』よりも比重が高い。ユーリウス様の腕力では、剣のほうに振り回されてしまう可能性が高いでしょう」
ユ「それに『銀』は本来非常にもろい素材だ。『銀剣』は曲がりやすいし、折れやすい。せいぜい短剣程度の長さのものならともかく、君が使っている銀のバスタード・ソード並みのものになってしまったら、常人にはそもそも『武器』としての用を成さないだろう」
カ「でも、そのわりに『銀剣』は意外とよく生産されてるんですよね」
ユ「まあ、見た目が美しいからね。それに、このあたりの国々だと、『銀』は一般に神聖な金属だとして信仰を集めているから、細工の美しい銀製の剣は、儀礼用の剣としては非常に一般的なものだ」
カ「そういえば、貴族の館や教会なんかにいくと、たいていは一本は銀剣が飾られていますね」
ユ「うん。ちなみに多くの国だと、ああいう銀の剣を鍛造できるというのが、金銀細工ギルドでの公認マイスターの資格だとされている。ちなみに『この世界』での『銀剣』というのは、いわゆる『純銀』ではなく、粘りを増すためにある種の金属をあわせた合金を用いることが一般的だけれど、『ブレード・シルバー』のレシピは国ごと、工房ごとに完全な機密とされていることが多い。場合によってはプラチナを合金していることもあるというから、中世程度の文化レベルだと思うとすごいよねえ」
カ「……あの、ユーリウス様、何をおっしゃっているのですか?」
ユ「別に?(にっこり)」
Q『銀剣使い』って何?
ユ「さて、やっと本題だ。これは要するにカスパールみたいな人間のことを言う。『銀剣』を用いることができる素質を持った人間を、一般に『銀剣使い』と呼称する」
カ「別に俺は一般の人よりも腕力があって、だから、『銀剣』を振り回せているわけじゃないんです。それは必要な程度に鍛えてはいますが」
ユ「『銀剣使い』じゃない人間だったら、どんなに優れた剣士だって、『銀剣』をあつかえやしないよ。重すぎるし、そのくせもろくて折れやすい。普通の鋼の剣のがずっとマシというものだ」
カ「でも、『銀剣使い』は、一般に非常に優れた剣士であることが多いんですよね。極端な話、10代の少女の『銀剣使い』で、普通の鋼の剣を持った熟達した剣士に勝利してしまうという話もありえない話じゃありません」
ユ「うん、ここが説明の必要なポイントだね。……つまり、『銀剣使い』というのは、一言で言うと一種の『魔法使い』なんだ」
カ「魔法……ですか?」
ユ「『魔力』を持ってるという意味での魔法使いだね。たとえばカスパール、ここに、錆びたナマクラの文化包丁が一本ある」
カ「準備がいいですね……」
ユ「では、これで、この冷凍マグロを切れるかい?」
カ「じゅ、準備がいいですね…… じゃあ、やってみます。よっ、と!」
がこん!(マグロ、一刀両断)
カ「切れましたよ」
ユ「うん、これが『銀剣使い』の本領発揮って感じだね」
カ「……マグロを切ることがですか……?」
ユ「それだったら君は魚屋になるべきだと思うよ。そうじゃなくって、『銀剣使い』ってのは、『持った刃物を強化することができる』という能力を持ってるんだ、ってこと。あんまり一般的には知られてないんだけど」
カ「ああ、そういう意味ですか。なんでマグロなのかと思いました」
ユ「極端な話、『銀剣使い』はテーブル用のナイフであっても、通常の鋼のナイフ以上の貫通力、切断力を出すことが出来る。それでいて、剣が折れる・欠ける、といったことをほとんど起こさない。カスパールもあまり体験したことが無いだろう、そういうことって?」
カ「ええ、剣を持っていて、『切れない』という体験はほとんどありません。他の戦士の方なんかの話を聞いていると、戦争をしていて3・4人も切ると、剣の刃が鈍ってしまって、鉄の棒でなぐりあっているのも同じという状態になってしまうという話は聞きますけれども」
ユ「相手が盾や鎧で防御していても同じだものね」
カ「……たいていは、盾ごと、あるいは鎧ごと両断できてしまいますね」
ユ「ここが『銀剣使い』の怖いところなんだ。まあ、分かりやすく言うと、彼らの身体には一種の『電気』が通ってるようなものだね。手にした剣などの武器にも『電気』が通り、切りつけた相手を感電させることができるというわけ。ただ、この『電気』には素材との相性というものがあって、たとえば木製の武器なんかは、ほとんど威力が上がらないね」
カ「でも、やっぱり一番相性がいいのは『銀剣』ですね」
ユ「うん。『銀』は一般に『魔力』と非常に相性がいい。その上魔よけの効果がある…… というのか、通常の武器だと効果の出せないような魔物に対してもダメージを与える力を持つ。伝説に残る英雄なんかの話だと、銀の剣でドラゴンの首を一刀両断にしたなんて話もあるけど、さすがにこれは眉唾かなあ」
カ「ただ俺でも、普段使ってる刃渡り1mの銀剣があれば、馬の胴体を一刀両断にする程度のことはできますよ」
ユ「鋼の剣でやろうと思えば、いわゆる『斬馬刀』じゃないとできない芸当かな。さすがは『銀剣使い』の面目躍如という感じだね。ちなみにこの特性から、たいていの『銀剣』は刀身と柄が一体になってるタイプが多い。なのに衝撃で手がしびれて取り落としたりしないのは、やっぱり、『銀剣使い』だからなんだろうね」
カ「ちなみに銀の防具というものもあります」
ユ「これも一般の人間には重くてもろい役立たずなんだけど、『銀剣使い』が着れば無敵の鎧になる。……ただまぁ、打撃には弱いし、やっぱり重いから、せいぜいがブレスト・アーマーと兜ってのがせいぜいだろうね」
Q『銀剣の騎士』とは?
ユ「これは『銀剣使い』の別名…… っていうか、特性かなあ。国によって位置づけは違うけれども、たいていの『銀剣使い』はフリーの傭兵にでもならないかぎりコレになる」
カ「フリーの『銀剣使い』なんているんですか?」
ユ「うーん、伝承詩なんかにはときどき出てくるけど、実際には居ないんじゃないかな…… よっぽどの事情があるならまた別だろうけど。『銀剣使い』ってのは、さっき言ったような特性から、たいていの場合どっかの国に囲い込みにされるからね。なにしろ稀少な人材だから」
カ「一国に、せいぜいが……」
ユ「小国の場合、最悪一人もいない。よっぽどの大国であっても、多くても10人を超えることは滅多にない。生まれる確立は、せいぜい、数千人に一人なんじゃないかな。さらに、本人も回りも気付かずに、生涯埋もれたままの『銀剣使い』も多いだろうし。だからどこの国であっても、『銀剣使い』を見つけたら、特別待遇でエリート教育を施して、一流の騎士に仕立て上げるね」
カ「俺も地方の農村の出身ですしね。もしも『銀剣使い』じゃなかったら、地方領主の私兵になるのがせいぜいです」
ユ「うん。だから、普通は『騎士』は男性しかなれないけれど、『銀剣使い』に限っては例外と定めている国がほとんどだ。非力な女性であっても『銀剣使い』なら十分に強くなれるからね。同時に、『銀剣』を扱えるということは天恵とみなされるから、教会からも祝福されて、『聖騎士』の称号を与えられたりもする。国家においては騎士(ナイト)の称号、教会においては司祭レベルの位階と、二重の地位を持っていることが多い」
カ「とはいえ、前線に出て戦ってこその『銀剣』ですから、あんまり出世してしまうと困るんですけど……」
ユ「でも、『銀剣の騎士』を戴いている軍は、そもそも兵士の士気がぜんぜん違うからね。大軍の先頭に立ち、銀の剣をかざして聖戦を謳う『銀剣の騎士』なんて姿を見れば、敵軍は怯むし、味方の軍の士気はいやましに増すというものだ。一種のシンボルとしての意味もあるというところかな。
ちなみに『銀剣の騎士』の中には、一国の王子であり、『銀剣の騎士』であり、さらに将軍職、聖卿の位まで持ってるなんていうとんでもない人もいる。生まれながらの英雄といったところだね。
……でもまあ、例外もある、かな?」
カ「……」
ユ「『銀剣の騎士』には聖性があると考えられているからこそ、当然、それなりのモラルが求められるというわけ。周囲の期待も当然大きいし、『英雄』であることが期待されてる。当然国に最後まで忠誠を誓うべきだと思われてるし、魔物に協力するなんてもってのほか……ってところ。もしもそういう事例があったら、『名誉の戦死』扱いで闇に葬り去られるのがせいぜいだろうね」
カ「……俺ですね。俺は公式にはもう死んだことになってますし」
ユ「ひどい醜聞だからね」
カ「……」
ユ「とはいえ、実際のところ、こういう世間からの扱いってのは『銀剣使い』としての本来の能力にはまったく関係ない。むしろ君は、中途半端に祭り上げられて腕を磨きそこなっている『銀剣の騎士』などより、ずっと有能だと思う。……君にとっては何の救いにもならないかもしれないけれど」
カ「いえ、ありがとうございます……」
Q『銀の武器』は資格を持たない人間には扱えないんですか?
カ「これはオマケですね」
ユ「うん。だいたい、銀の武器を使うメリットっていうのは、普通の人間にはほとんど無い」
カ「重い・もろい・高いと三拍子そろってますからね」
ユ「ただ、相手が『魔物』だった場合は話が多少別になる。『銀』は聖性を持った金属だから、普通の武器では傷つけられない魔物にも傷を負わせられる場合があるんだ」
カ「そういう場合は、銀の武器を用いる……」
ユ「白兵武器で一般的なのは銀のメッキを施した武器。でも威力はあんまり無い。本当は遠距離から弓や石弓の射撃するほうが効率的なんじゃないかな。対魔物用に限ってそういった装備を固めておくというのは、どこの国でも常識だ」
カ「でも、やっぱり高いんですよね」
ユ「正直、すごく財政を逼迫するね。最近は魔物が多いから銀の相場も高騰してるし。しかも対人間用の武器としては、非効率的なことこの上ない。だからこういう装備をそろえているのは、正規軍よりも、魔物と遭遇することが多い地方領主の私兵が多いね」
カ「……とりあえず一通り『銀剣』について解説しましたけれど、これでいいんですか?」
ユ「うん。メモ書きにはなったんじゃないかな」
カ「でも、上で何回も出てきましたけれども、女性の『銀剣の騎士』って本当にいるんですか?」
ユ「さあ。まだ設定されて無いらしいけれど、ネタとしてはオイシイよね。ジャンヌ・ダルクみたいな聖戦士というイメージだから。無敵の聖少女…… というのはなかなかカッコいいかもしれないね、カスパール?(にっこり)」
カ「(ユーリウス様の言ってることは、たまに分からないなあ……)」
続くかどうかは未定。