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本屋で偶然手に取り、結局買わなかったんですが、衝撃的でした。
何が衝撃って、モデルが作家の嶽本野ばらだった、ということですよ。
嶽本野ばらの部屋、嶽本野ばら自身、そして、彼の生活。
嶽本野ばらといえば『ロリィタ系作家』という触れ込みもあり、私は彼の作品があまり好きじゃなかったのですが、写真として昇華された彼の姿はなるほど確かに痛々しいまでの美しさに満ちている。これは傑作かもしれませぬ。
見て、ばっと思い出したのは、『森茉莉』でした。
嶽本野ばらは森茉莉を尊敬しているから、この形容はたぶん正しいのだろうなあと思います。森茉莉の部屋がすごかったというのは今も伝えられる話だし、彼女の持ってる独特の研ぎ澄まされた美的センス、それを地上へとつなぎとめていた現実へのシニカルな目線ってものあたりに、嶽本野ばらとの共通点を感じる。
ヴィヴィアンのロッキンホースバレリーナだけが大量の並んだ玄関……
趣味的なインテリアで埋め尽くされた、決して広くは無い部屋
ロリィタ系の服を来た小柄な嶽本が町を行く姿のスナップ
骨の浮いた手足と、おしろいの浮いてしまう疲れた肌
そんな自分自身を知るように、何か、ペットショップの鳥のように悲しそうな目をし、口をつぐんだ嶽本野ばら本人
彼が美学として掲げる、徹底した『反生活』と、それをまっとうできない人間としての姿をここまであらわした作品っつーのはちょっと無いような。
年齢的には中年に差し掛かる男性が、『ロリィタ』を体現しようとしている、できないにしても精一杯に努力しているということが良く分かり、胸の詰まるような切実な感覚です。
そして、これ、装丁はミルキィ・イソベさんなのね。そしてパラボリカ・ビスで展示をしているのね。なるほど。
いろんな意味で腑に落ちる感じでした。家においておくにはちょっと悲しくて痛すぎる写真集だけど、なんか、いつか買っちゃう気がするなー。