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本屋さんで『アンジュール』を読み、家で『不思議な少年』を読み返して、おうおう泣いてしまいましたよ…… おおおうううう。
最近妙に涙もろくていかん。さすがに本屋さんだと自制が働くので声は出しませんでしたが、絵本を握り締めて泣いてる女はさぞかし怪しかったろうと思う。『不思議な少年』は家だったので、何も考えずに大声でわんわん泣きました。すっきり。
『アンジュール』は車の窓から捨てられた犬が、ひとりの少年に出会うまでを台詞なしのデッサンだけで綴った絵本。でも、鉛筆で書かれてる犬のちいさな影が…… 泣けるぜ。
『不思議な少年』は元からかなり好きというか、『火の鳥』『おろち』と似た人間ドラマの傑作です。ドラマチックではない、ただ人間が生きていく、その様を見ながら独白される「人間は不思議だ」という言葉が非常にディープ。二巻収録の『タマラとドミトリ』、三巻『末次家の三人』が特に泣けます。
前者はいつか未来の辺境、愛も無く「一族最後の生き残りだから」というだけの理由で結婚させられた少女が、夫ただ一人にしか出会わなかったという人生を描いた物語。『末次家の三人』は平凡な人生を送るサラリーマンがその人生の意味、家庭の意味を問い直すという物語。
「人間はこれでいい」という圧倒的な肯定感が、なんつうか、いい。ドラマチックではなく、平凡で、どこにでも存在するような当たり前の人生でいい。それを見つめた少年の、「人間って不思議だ」という独白が非常に重い。
最近、ドキュメンタリ系の本を読んでて、社会の罪とか人生の意味とか悩むんですけど、やっぱり、最後に救ってくれるのは『嘘』なんだよな。物語が人間を救ってくれる。現実にありそうな、現実に存在しない、ほんのすこしの『嘘』がふりかけられた物語が、心を救ってくれる。
『物乞う仏陀』『さよなら、サイレント・ネイビー』『黄泉の犬』さらにメンタルヘルス系の作品、『卒業式まで死にません』なんかを読んでてやりきれない気持になった後、フィクション作品…… 『パーマネント野ばら』なんかを読むと、やっぱり、救われるんだよなぁ。
人生は一回しかない。だから、ほんのちょっとの嘘が欲しい。「けれどそれすらも幸福でした」という一行の嘘が欲しい。

……あと、こっそりDXページを更新。あれ、読んでる人いますか?(と、こっそりと聞いてみる)

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